山本の主張

Dr Makoty's advocate 2022

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2022年3月1日 オミクロン株感染数はなぜ減らないか

ここ大分県での新型コロナ感染数がこのところ平行線を辿っています。一時は一日500人台まで上昇しましたが、当初予想された2月中旬をピークにあとは順調に下がると考えていましたが、残念なことにここ2週間は300人台で推移しています。いわば平行線ともいえる状態です。これをどう理解するかが本日のテーマです。これまで新型コロナの波は、一つの山が下がってから次の波がやってきていました。なのでそれぞれが独立した二項分布のカーブを描き、これがコロナウイルスの不活化(コピーエラーによる自滅)の共通現象と読めました。しかし今回は、ピークのあと少し下がってその後平行線をとっています。コロナのウイルスとしての特性が変わったのでしょうか。いや、ウイルスとしての基本構造が変化していないから同じ新型コロナの一群なのですからそういうことは考えにくいと思います。では何か。これまでのように一つの株の増減が独立しているのではなく、少しずれて重なっていると考えると理解が出来ます。すでに第6波であるオミクロン株は先行するBA.1株に対し、亜種であるBA.2株の存在が指摘されています。そして両者は免疫獲得が共通ではなく、BA.1に罹患してもBA.2への耐性はないことも指摘されているところです。すなわち亜種というより別の株の流行が少し遅れて発生していると考えるべき事態といえます。それを模式図に表すと下記のようになります。

二項分布曲線の茶線が本来のBA.1の感染数のカーブで、これが2月中旬でピークを迎え、その後急速に落ちていくというのが当初からの推定です。そこにBA.2がある時点から徐々に増えると仮定したカーブを青線で示します。両者の複合が感染数で、これを赤破線で示したものです。現状はこの破線で示す状況になっているのではないでしょうか。ということはこのまましばらく平行線を辿ったあと、BA.2が再びピークを迎えるまで再上昇する可能性もあるということになります。2月中旬がピークで、3月は急速に感染数が減少し3月末には再び沈静期を迎えるという推定は、亜種の存在のために否定されることになる可能性があります。それでもBA.2も新型コロナである以上、必ずピークのあとは急速な新規感染数の減少という現象が見られるはずです。もうしばらく頑張りましょう。